お金の話① 「貯金と預金と貯蓄の違い」
当サイトに使用している単語に「預貯金」や「貯蓄」があります。
私たちは、なんとなく「預貯金」「貯金」「預金」「貯蓄」を聞いたり、言ったりしていますが、
どんな違いがあるのか、良く分からないまま使用しています。
貯金と預金の違いが、成り立ちにあったことをご紹介します。
「預貯金」とは、「貯金」と「預金」の両方を表現する時に使用します。
では、「貯金」と「預金」はどう違うのか、このふたつは同じ性質の金融商品ですが、預ける金融機関によって使い分けられています。
・貯金=郵便局(現ゆうちょ銀行)、JAバンク(農業協同組合)、JFマリンバンク(漁業協同組合)、水産加工業協同組合など
・預金=銀行(ネットバンクを含む)、信用金庫、信用組合、労働金庫、信託銀行、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、商工組合中央金庫など
何故、預ける金融機関によって名称が違うのか、それは成り立ちにありました。
「貯金」の経緯
郵便貯金として、1875年(明治8年)に始まりました。当時の日本には「お金を貯める」という思想自体がありませんでした。
その後の教育や政府が後ろ盾しているという安心感から、国民は郵便局にお金を預けるようになりました。
そして、戦後には世界最大の預貯金残高を誇る金融機関となりました。
このように、「貯金」は、もともと「個人が貯めたお金を預ける」という性格が強いもので、
イギリスの郵便局で使われていた「savings」を訳して「貯金」という言葉が生まれたと言われています。
「預金」の経緯
日本初の銀行は、1873年(明治6年)に実業家の渋沢栄一氏によって設立された第一国立銀行(現みずほ銀行)でした。
当時、銀行にお金を預けたのは、商人や企業など事業に関わる人たちでした。
そのお金が企業に融資というかたちで供給され、成長する企業が銀行にお金を預け入れる、という循環が起こり、日本の資本主義の礎が築かれていきました。
このとき、英語の「deposit」を訳して「預金」という言葉を作ったと言われています。
簡単に言うと、個人がお金を貯めるために始まったのが「貯金」で、商人や企業がお金を預け運用するために始まったのが「預金」です。
しかし、第二次大戦後、GHQによる金融改革で、個人でも銀行が利用できるようになり、両者の実質的な違いはなくなりました。
余談として、個人が自宅でお金を貯めることを「貯金」といい、その箱を「貯金箱」というのも合点がいきます。
「タンス預金」という場合は、他の者から資産がわかるのを避けるため、自宅に現金で置いておくことから貯めると言う意味合いとは違うことから、預金というのではないでしょうか。
「貯金」と似た言葉に「貯蓄」があります。この「貯蓄」は、預貯金だけを言う場合と、預貯金だけでなく、株式、投資信託、債券などの有価証券と保険の積立といった金融商品を含めた家計の「金融資産」をいう場合と、さらに金融資産に不動産や年金も含めたものを言う場合もあります。